中手骨骨折(ボクサー骨折)

- 手の甲に強い痛みがある
- 手の甲が腫れている
- 物を殴った際に痛みが出た
中手骨骨折(ボクサー骨折)は、手のひら側の中手骨に生じる骨折の一種で、特に拳を握った状態で硬い物体を殴ったときに発生することが多い骨折です。
この骨折は特に第4中手骨(薬指)や第5中手骨(小指)で多く見られ、放置すると手の機能に支障をきたす可能性があります。中手骨骨折の原因、症状、診断方法、治療法、そして予防策について詳しく解説します。
【もくじ】
中手骨とは?
中手骨(Metacarpal Bone)は、手のひらを形成する5本の長骨で、それぞれ指の基部から手首に向けて伸びています。これらの骨は指を動かすために重要で、衝撃を受けやすい構造です。

- ボクサー骨折: 特に第4・第5中手骨の遠位部(指に近い部分)で発生する骨折を指します。
中手骨骨折の好発年齢

中手骨骨折は、以下の人々に多く発生します。
- 若年男性(15〜30歳): スポーツや喧嘩など、衝撃が強い行動をとることが多い。
- スポーツ選手: ボクシング、空手、ラグビーなど手に衝撃がかかりやすい競技を行う人。
- 工事現場や肉体労働に従事する人: 硬い物を持つ、叩く動作を繰り返す作業が原因になることがあります。
発生頻度は稀ですが、スポーツや仕事などで特徴的な動作や衝撃が加わる人に発生します。別名でボクサー骨折と呼ばれるのは、殴る行為によって発生することが多いためです。
主な原因
中手骨骨折は、直接的な外力が手に加わることで発生します。
1. 拳で硬い物を殴る
- ボクサー骨折という名称の通り、拳を握った状態で壁や硬い物を殴った際に発生することが多い。
2. スポーツによる衝撃
- ボールや他の選手との接触による外力。
3. 転倒や事故
- 手をついて転んだ際の衝撃。
- 車のドアや重い物による圧力。
症状
中手骨骨折の症状は以下のように現れます。
1. 痛みと腫れ
- 骨折部位に激しい痛みを感じる。
- 手の甲に腫れが生じる。
2. 変形
- 骨折した部位が凹んでいる、または指が曲がったように見える。
- 骨折部位に触れると、異常な突起や動きを感じることがあります。
3. 可動域の制限
- 骨折した部位を動かすと痛みが増し、拳を握るのが困難。
- 指の伸展や屈曲が制限される。
4. 皮膚の変色
- 打撲による皮下出血が見られ、青黒く変色する。
診断方法と流れ
中手骨骨折の診断は以下の手法で行います。
1. 問診
- 痛みの発生状況や外傷の原因を確認。
- スポーツ歴や作業内容もヒントになる。
2. 身体診察
- 腫れや変形、圧痛の有無を視診・触診。
- 骨折した指の位置関係を確認。
3. 画像診断
- X線撮影: 骨折の有無や位置、骨片のずれを確認。
- CTスキャン: 複雑な骨折の場合に詳細な画像を撮影。
治療法
中手骨骨折の治療は、骨折の部位、ずれの程度、患者の年齢や活動レベルによって異なります。
1. 保存療法
骨のずれが少ない場合は保存療法が適用されます。
- 固定: ギプスやスプリントで骨を安定化。
- 安静: 痛みが引くまで手の使用を制限。
- 鎮痛薬: 痛みを抑えるための薬を服用。
2. 手術療法
骨のずれが大きい、また骨折の状態がひどい場合には手術が必要です。
- ピン固定術: 骨片を元の位置に戻し、ピンやワイヤーで固定。
- プレート固定術: 骨の安定性を確保するために金属製のプレートを使用。
リハビリテーション

治療後は、手の機能を回復するためのリハビリテーションが重要です。
- 可動域の回復: 固定解除後に関節の柔軟性を取り戻すエクササイズを行う。
- 筋力トレーニング: 手指の筋力を強化するトレーニングを段階的に実施。
- 日常生活復帰の指導: 無理のない範囲で日常生活やスポーツ活動を再開。
予防策
中手骨骨折を予防するためには、以下のポイントに注意しましょう。
1. 正しい拳の使い方を学ぶ
- ボクシングや空手など、拳を使うスポーツでは正しいフォームを習得。
- 拳を握る際には中指から小指まで均等に力を入れる。
2. 手の保護具を活用
- スポーツ時には適切なグローブやテーピングを使用。
- 手を保護するための道具を選ぶ。
3. 硬い物体を叩かない
- 硬い物を殴る行動を避ける。
- 感情的な行動で壁や物を叩くのは厳禁。
4. 作業環境の整備
- 工事現場や肉体労働では安全手袋を着用。
- 手に過剰な負担をかける作業を避ける。
当院では、骨折の処置・リハビリの実施することが可能です。ボクサー骨折に限らず、スポーツや日常生活におけるケガでお困りの際には一度ご相談ください。