有痛性外脛骨


- 子供がくるぶしを痛がっている
- 運動すると足を痛がっている
- 足首の内側を痛がっている
- 安静にしたけどなかなか改善しない
- 歩くのもつらそう・・・
子供に発生することの多い有痛性外脛骨は、早めに足周辺の処置を行うことが大切です。湿布や筋肉を緩めるだけでは症状の改善が難しいのが実際です。
今回は、有痛性外脛骨について詳しくご紹介していきます。
【もくじ】
有痛性外脛骨
有痛性外脛骨とは?
有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)とは、足の舟状骨の内側に存在する過剰骨である外脛骨が痛みを引き起こす病態です。本来、外脛骨自体は先天的に存在する副骨の一種であり、多くの人では無症状ですが、特定の条件下で炎症を起こし痛みが生じる場合があります。
外脛骨の発生率は10~20%程度とされ、特にスポーツをしている成長期の子どもや女性に多く見られます。
有痛性外脛骨の原因
有痛性外脛骨の発症には以下の要因が関与します。
(1) 原因となる組織
- 外脛骨
- 舟状骨の内側に位置する過剰骨
- 3つのタイプに分類され、特にType II(線維軟骨で舟状骨とつながるタイプ)で痛みが発生しやすい
- 後脛骨筋腱
- 足の内側アーチを支える重要な筋腱
- 外脛骨が後脛骨筋腱に付着することで、歩行や運動時に牽引力がかかり炎症を引き起こす
- 骨膜
- 外脛骨と舟状骨の境界部に存在
- 過剰な牽引やストレスにより炎症が発生
(2) 主な発症メカニズム
- 舟状骨と外脛骨の間にある線維軟骨がストレスにより炎症を起こす
- 後脛骨筋腱の牽引力が外脛骨に過度な負荷をかける
- 繰り返しの足関節の動き(歩行、ランニング、ジャンプなど)が慢性的な刺激となる
- アーチの低下(扁平足)が後脛骨筋への負担を増大させる
- 急激な運動量の増加や外傷によって症状が悪化する
有痛性外脛骨の症状
(1) 主な症状
- 舟状骨内側部の疼痛
- 圧痛があり、特に靴の圧迫で痛みが増す
- 歩行時やランニング、ジャンプ時に痛みが出現・悪化
- 悪化すると安静時でも痛みが持続
- 腫脹(むくみ)
- 外脛骨周囲に炎症が起こり、軽度の腫れがみられる
- 発赤(炎症のサイン)
- 皮膚表面に赤みを伴うことがある
- 扁平足の併発
- 土踏まずのアーチが低下していることが多く、後脛骨筋腱の負担が増加する
症状の判断方法
(1) 触診
- 舟状骨内側の圧痛を確認
- 後脛骨筋腱にストレスを加えるテスト(つま先立ちなど)で痛みの誘発を確認
(2) 画像検査
- X線(レントゲン)
- 外脛骨の存在を確認
- タイプ分類(Type I~III)
- MRI
- 軟部組織(後脛骨筋腱や炎症の評価)を詳細に確認
- 骨髄浮腫の有無を評価し、痛みの原因を特定
- 超音波(エコー)
- 炎症の程度や腫脹の確認に有用
- 後脛骨筋腱の異常を評価
治療・処置
(1) 保存療法(初期治療)
- 安静・運動制限
- 痛みがある場合は運動を控え、患部への負担を軽減
- 足底板(インソール)の使用
- アーチサポート付きインソールで扁平足を補正
- 後脛骨筋の負担を軽減し、症状の改善を図る
- テーピング・サポーター
- 後脛骨筋の過剰な牽引を抑え、痛みの軽減を図る
(2) リハビリや施術
- ストレッチ
- 後脛骨筋や下腿の柔軟性を高め、牽引ストレスを軽減
- ふくらはぎのストレッチが有効
- 筋力トレーニング
- 後脛骨筋の強化(タオルギャザー、チューブを使ったトレーニング)
- 足部の安定性向上による痛みの予防
(3) 手術療法(保存療法で改善しない場合)
- 外脛骨の摘出術
- 痛みが長期化する場合や、スポーツ復帰が困難な場合に適応
- 後脛骨筋腱を舟状骨に再付着させる手術を行うことが一般的
手術の選択は、よほどのことが限り行わないのが一般的です。筋肉の緊張緩和とインソールの活用をしていき、それでも症状が消失しなかったり歩行への影響が強い場合に選択肢に入ってきます。
小中学生に発生する有痛性外脛骨は、基本は保存療法で進めていきます。
予防と再発防
- 適切な靴の選択
- 内側アーチをサポートする靴を選ぶ
- 圧迫が少ない構造の靴を履く
- 運動前のウォームアップ・ストレッチ
- 後脛骨筋やアキレス腱の柔軟性を高める
- 運動量の調整
- 急激な運動量の増加を避ける
- 特に成長期のスポーツ選手では適切な負荷管理が重要
はっとりはりきゅう接骨院では、インソールの活用と運動時のテーピングサポートを中心に施術を進めていきます。
運動競技に合わせたテーピングと運動後のケアを組み合わせて行っていき、なるべく休むことなく運動したいというご要望にもお応えしています。
有痛性外脛骨のまとめ

有痛性外脛骨は、舟状骨の内側に存在する過剰骨が原因で発生する足部の障害であり、特にスポーツをする若年者に多い疾患です。後脛骨筋腱の牽引ストレスが痛みの主な原因であり、扁平足と関連することが多いです。
診断にはX線やMRIが有用であり、治療は保存療法が基本ですが、難治性の場合は手術が選択されることもあります。適切な靴の選択、インソールの使用、ストレッチ・筋力トレーニングによる予防が重要です。
特にスポーツをする成長期の子どもにおいては、運動量の管理や適切なシューズ選びが重要です。再発を防ぐためにも、扁平足の矯正や後脛骨筋のトレーニングを継続することが勧められます。
捻挫などをしていないのに、足首の内側に強い痛みや運動時に感じる痛みで困っている場合には当院へ一度ご相談ください。