趾骨骨折
【もくじ】
趾骨骨折とは・・・
趾骨骨折は、足の指にある骨が折れる状態を指します。日常生活での事故やスポーツ中の外傷が原因で発生することが多く、特に小指や親指の骨折が一般的です。適切な治療を行わないと、足のバランスや歩行に影響を及ぼす可能性があります。
趾骨骨折の原因、症状、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説していきます。
趾骨とは?
趾骨は足の指を構成する細長い骨で、それぞれの指に3つずつ(親指は2つ)存在します。
- 近位趾節骨: 足の付け根に近い部分。
- 中趾節骨: 中間部分(親指には存在しない)。
- 末趾節骨: 指の先端部分。
これらの骨は、歩行や体重の支えに重要な役割を果たしますが、細くて柔軟性があるため外力によって折れやすい特徴があります。
好発年齢とリスク群
趾骨骨折は、幅広い年齢層で発生しますが、特定の条件下でリスクが高まります。
- スポーツ選手: サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、足に衝撃が加わる競技を行う人。
- 裸足で過ごす人: 家庭内で家具に足をぶつけるなど、日常的な事故。
- 高齢者: 骨密度が低下しているため、軽微な外力でも骨折が起こる可能性が高い。
- 建設作業員や重労働者: 重い物を足に落とすリスクがある職業。
主な原因
趾骨骨折は、直接的な外傷や繰り返しの負荷が原因で発生します。
1. 外傷
- 物を落とす: 足の上に重い物が落下することで骨折。
- つまずく: 家具や障害物に足の指をぶつける。
- スポーツ中の衝撃: 他の選手との接触やボールの直撃。
2. 繰り返しの負荷
- 疲労骨折: 長距離ランニングや激しいトレーニングによるストレスの蓄積。
3. 骨の弱化
- 骨粗鬆症や栄養不足によって骨が弱くなり、骨折のリスクが高まる。
症状
趾骨骨折の症状は、損傷の程度や部位によって異なりますが、以下のような特徴があります。
1. 痛み
- 骨折部位に激しい痛みを感じる。
- 足に体重をかけると痛みが増す。
2. 腫れと変形
- 骨折した部位が腫れ、変形が見られる。
- 皮膚下に骨の突起が触れる場合もある。
3. 内出血と皮膚の変色
- 骨折部位や周辺が青紫色に変色する。
4. 可動域の制限
- 指を曲げる、伸ばす動作が困難。
- 靴を履くことや歩行に支障が出る。
診断
趾骨骨折の診断は、以下の方法で行われます。
1. 問診
- 痛みの発生状況や外傷の原因、日常生活での足の使い方について確認。
2. 身体診察
- 骨折部位の腫れや変形を視診。
- 圧痛の有無を触診で確認。
3. 画像診断
- X線撮影: 骨折の有無や骨片の位置、ずれを確認。
- MRI: 軟部組織の損傷が疑われる場合に使用。
- CTスキャン: 複雑骨折や関節内骨折の場合に詳細な評価を行う。
治療法
趾骨骨折の治療は、骨折の種類や程度、患者の生活スタイルに応じて選択されます。
1. 保存療法
軽度の骨折やずれのない骨折では、保存療法が適用されます。
- テーピング: 骨折した指を隣の指と固定することで安定性を確保。
- 安静: 痛みが引くまで足を使わない。
- 適切な靴: 骨折部を圧迫しない柔らかい靴を選ぶ。
2. 手術療法
以下の場合には手術が必要となることがあります。
- 骨片が大きくずれている。
- 関節内骨折で可動域に影響が出る恐れがある。
- 複雑骨折や開放骨折。
手術では以下の方法が行われます。
- ピン固定術: 骨片を正しい位置に戻し、ピンで固定。
- プレート固定術: 金属製のプレートやスクリューで骨を安定化。
基本的には、趾骨骨折では保存療法となることが多いです。開放骨折などの場合には外科的処置が必要になってきますが、一般的な骨折の場合固定材を用いて安静を図るのが一般的です。
リハビリテーション
治療後の回復にはリハビリが重要です。
- 歩行訓練: 固定解除後に足のバランスを取り戻す練習。
- 可動域の回復: 指の柔軟性を回復させるストレッチを行う。
- 筋力強化: 足の筋力を高めるためのエクササイズを段階的に実施。
- タオルギャザー:趾骨の運動を促すエクササイズで、足部の安定化につながります。
予防策
趾骨骨折を予防するためには、以下のポイントに注意しましょう。
1. 適切な靴を選ぶ
- 足を保護するための硬い先端の靴や運動用の靴を選ぶ。
- 長時間の運動にはクッション性のある靴を着用。
2. 足元の安全確保
- 家庭内の障害物を整理整頓。
- 転倒しやすい環境を改善。
3. 運動前の準備
- 足のストレッチや軽いウォームアップで柔軟性を高める。
- 過度な運動を避け、適切な休息をとる。
4. 骨の健康を保つ
- カルシウムやビタミンDを含む食事を摂取。
- 適度な運動で骨密度を維持。
趾骨骨折になってしまったら・・・
足の指の骨に損傷が起こる趾骨骨折では、内出血や痛みを伴うことがとても多いです。ですが、3週間前後で症状が少しずつ緩解し、徐々に痛みの程度が弱くなっていきます。
この期間には、しっかりと固定をしなくてはいけないことが注意するべきポイントです。
固定期間が短かったりした場合には、変形治癒なども起こりえます。変形治癒してしまうと、元の状態に戻すことがとても難しいので、今我慢できたとしても早めに処置を受けるようにしましょう。
趾骨骨折などの骨折をはじめとするケガでお困りの際には一度当院へご相談ください。