足根管症候群

足根管症候群とは?

足根管症候群とはは、足の内側にある「足根管」という狭いトンネル内で神経が圧迫されることによって生じる疾患です。

この疾患は、足や足裏、さらにはつま先に至る痛みやしびれを伴い、放置すると日常生活に影響を及ぼす可能性があります。足根管症候群の原因、症状、診断方法、治療法、予防策について詳しく解説していきます。

足根管とは?

足根管は、足首の内側に位置する解剖学的構造で、以下の組織が通過しています。

  • 後脛骨神経(症状の主な原因)
  • 血管
  • 腱(後脛骨筋、長指屈筋、長母趾屈筋)

これらの組織は、内果(足首の内側の骨)と屈筋支帯(靱帯)によって形成されたトンネル内を通ります。この狭い空間内で神経が圧迫されることで足根管症候群が発生します。

神経の圧迫は急激な衝撃などではなく、日常生活の負荷などが積み重なって出てくるのが大きな特徴となります。

好発年齢とリスク

足根管症候群は幅広い年齢層で発症しますが、以下の人々に特に多く見られます。

  • 30〜50代: 足や足首を酷使する年代。
  • スポーツ選手: ランニングやジャンプなど、足に繰り返し負担がかかる動作を行う人。
  • 立ち仕事: 長時間の立位や歩行を伴う職業(例:販売員、調理師)。
  • 肥満: 足首に過剰な負荷がかかりやすい。

反復運動によって、負荷がかかり続けることは足根管に限らず他の疾患でもよく見られます。

主な原因

足根管症候群は、後脛骨神経が圧迫される要因によって引き起こされます。具体的には、以下のような原因が挙げられます。

1. 解剖学的要因

  • 扁平足: 土踏まずの低下によって足根管が狭くなり、神経が圧迫される。
  • 足部変形: 骨折や捻挫の後遺症で足根管の形状が変化。

2. 外的要因

  • 長時間の立位や歩行: 足首に負荷が集中し、神経が圧迫される。
  • 靴の締め付け: 狭い靴やハイヒールが足根管を圧迫。

3. 内的要因

  • 腫瘤や腫れ: 腱鞘炎やガングリオンなどで足根管が狭くなる。
  • 炎症: 関節リウマチや糖尿病による神経周囲の炎症。

症状

足根管症候群の症状は、神経圧迫の程度や持続期間によって異なります。以下に主な症状を挙げます。

1. 足の痛み

  • 足首の内側から足裏、さらにはつま先にかけて広がる。
  • 痛みは歩行や運動時に悪化し、安静時には軽減する場合が多い。

2. しびれや感覚異常

  • 足裏やつま先でのピリピリとしたしびれ感。
  • 感覚が鈍くなる(感覚鈍麻)。

3. 筋力低下

  • 神経圧迫が進行すると、足の筋力が低下し、歩行困難になる場合も。

4. 症状の悪化タイミング

  • 長時間立つ、歩く、または靴を履いた状態で症状が悪化。
  • 夜間に痛みやしびれが増すこともある。

診断

足根管症候群の診断は、以下の手順で行われます。

1. 問診

  • 痛みやしびれの部位、発症状況、悪化要因について詳細をお聞きします。

2. 身体診察

  • チネル徴候: 足根管の上を軽く叩き、神経圧迫によるしびれや痛みを確認。
  • 足の形状チェック: 扁平足や足部変形の有無を確認。

3. 画像診断

  • MRI: 神経圧迫の原因(腫瘤、炎症、骨変形など)を確認。
  • 超音波検査: 神経周囲の状態をリアルタイムで評価。

4. 電気診断検査

  • 神経伝導速度検査: 神経の伝達速度を測定し、圧迫部位や程度を特定。

神経自体の圧迫有無を確認するには、MRIなどの精査が必要になります。足根管症候群は、足先にかけて発生する症状が多いため、原因から特定しなくてはなかなか改善ができない可能性もあります。

治療法

足根管症候群の治療は、保存療法が基本ですが、症状が重い場合は手術が検討されます。

1. 保存療法

  • 休息とアイシング: 足首への負担を減らし、炎症を抑える。
  • 靴の改善: 衝撃吸収性の高いインソールや、足に合った靴を使用。
  • 理学療法: ストレッチやマッサージで神経圧迫を軽減。

2. 薬物療法

  • 抗炎症薬(NSAIDs): 痛みや炎症を抑える。
  • ステロイド注射: 足根管内の炎症を軽減。

3. 手術療法

保存療法で効果がない場合や重症例では、足根管の開放術(Tarsal Tunnel Release)を行います。

  • 屈筋支帯を切開して神経の圧迫を解除。

予防策

足根管症候群を予防するためには、日常生活での習慣が重要です。

1. 足に合った靴を選ぶ

  • 土踏まずを支えるインソールやアーチサポートを活用。
  • 長時間のハイヒールや締め付けの強い靴を避ける。

2. 足首を鍛える

  • 軽いストレッチやエクササイズを取り入れ、足首周りの筋力を維持。
  • 過度な負担を避けつつ、バランスを意識した運動を行う。

3. 足首の疲労をケア

  • 長時間の立ち仕事や運動の後は、足を冷やしたり休ませる。
  • 足首のマッサージで血流を促進。

4. 扁平足や足部異常の早期対処

  • 専門家に相談し、適切なインソールや装具を使用する。

足根管で困ったら・・・

はっとりはりきゅう接骨院では、神経由来の症状などに対して鍼灸施術を中心にお身体に合わせた方法でアプローチしていきます。

また、精査に関してドクターとも連携を図りベストな対応ができるよう努めております。
足先のしびれ・痛みでお困りの際には当院へ一度ご相談ください。