後方インピンジメント症候群

  1. ボールを投げるときに肩が痛む
  2. 肩の前側ではなく、後ろ側に痛みが出る
  3. 肩に負荷がかかるときだけ痛む
  4. ボールをリリースするときに強い痛み
  5. アップをしっかりしても痛みが出る

肩関節の後方インピンジメント

後方インピンジメントの特徴

投球などの動作中に肩関節が最大外旋・外転位(90~120°以上)になることで、後方上方の関節内で関節唇と腱板(特に棘下筋や小円筋)が衝突し、挟み込まれる状態。

発生原因

  • オーバーヘッドスポーツ(野球、バレーボール、水泳など)の繰り返し動作
  • 肩関節の関節包の前方の緩さ+後方のタイトネス
  • インピンジ動作中の腱板と関節唇の摩擦
  • 肩関節の不安定性(肩甲骨の動きの問題)

病態について

  • 腱板の部分断裂(主に関節包側:関節内面)
  • 後上方関節唇損傷
  • SLAP損傷との関連
  • 肩の不安定性と併発するケースも多い

運動競技特有の肩の動きから影響を受けて、痛みが徐々に出てくることが多いです。急に痛みが出るというより、違和感から始まっていき、投球動作に支障が出てくるようなイメージとなります。

後方インピンジメントの症状

項目内容
主症状肩の後方の深部痛、違和感、キャッチ感(ひっかかるような感覚)
誘発動作投球動作のリリース直前(外旋+外転位)、肩の過伸展
日常動作では痛みは軽度または無症状だが、スポーツ動作で悪化

診断方法

方法説明
視診・問診投球時の痛みの位置と動作を詳細に確認
誘発テストPosterior impingement test(肩を外転90°+外旋90°で痛み)
画像検査MRIで腱板・関節唇の損傷確認、関節造影MRIが有効

治療・処置方法

保存療法(基本的な処置)

  • 投球制限・休止
  • リハビリ(肩甲帯・インナーマッスルの機能改善)
    • 前方関節包のストレッチ
    • 後方関節包の緩和
    • 棘下筋・肩甲下筋の再教育
  • 姿勢・肩甲骨コントロールの改善

手術療法(保存療法無効の場合)

  • 関節鏡視下での後上方関節唇修復術や腱板処置
  • 投球復帰には4〜6ヶ月以上

症状が悪化していく、改善しないという場合には精査も必要ですが手術などの手段をとることもあります。

その場合、運動復帰までの期間が長くなるためどのタイミングで行うのか?というのも考えなくてはなりません。

後方インピンジメントになったら

後方インピンジメントかも?と思ったら、すぐに安静を図り処置を行うようにしましょう。

違和感のタイミングで施術やケアを開始できれば理想ですが、痛みが出てからのケースも少なくありません。

そのため、日々のケアと運動競技中の違和感が出た時の早急な処置を覚えておきましょう。肩関節は複雑な構造で成り立っているため、精査をしながら適切な処置を進めていくことが多いです。

はっとりはりきゅう接骨院では、肩関節はもちろんですが骨折・脱臼などスポーツで発生するケガなども処置を行っています。また、地域医療や専門ドクターとも協力し、施術を行っていますので肩関節の痛みや不調でお困りの際には当院へ一度ご相談ください。